聞かでただあらましものを夕月夜
人だのめなる荻の上風
- 歌の意味
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いっそ聞かずにいればよかったのに。夕月の出る夜、人が来たかと期待させる荻の葉の上を吹く風の音を。
- 鑑賞
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恋歌 425
詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
夕月の夜、荻の葉を吹き渡る風の音を恋人の訪れかと思って心を躍らせたが、ただの風であったと気づき、いっそ聞かなければよかったと嘆いた歌である。期待と失望とを荻の上風の音に託している。
底本の注記によれば、原本では結句を「萩」とする。賀茂真淵は初句の「きかでただ」を後世風であると評している。
初句「聞かでただ」は、聞かずにただの意で、「で」は打消の接続助詞である。
二句「あらましものを」は、いればよかったのにの意で、「まし」は反実仮想、「ものを」は逆接の詠嘆を表す。ここで句切れとなり、倒置となっている。
三句「夕づく夜」は、夕方に出る月の夜の意で、恋人の訪れを待つ時刻を示す。
四句「人だのめなる」は、人に頼みに思わせるの意で、来訪を期待させてむなしく終わることをいう。
結句「荻のうは風」は、荻の葉の上を吹く風の意で、体言止めとなっている。荻は風にそよぐ音で人の訪れを思わせる植物である。
ゆふづくよ:夕月の出ている夜
ひとだのめ:人に期待させておいて裏切ること
うはかぜ:草木の葉の上を吹く風
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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あしひきの山の尾上に刈る萱の 束の間もなく乱れてぞ思ふ
- 次の歌
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夕月夜おぼつかなきを雲間より ほのかに見えしそれかあらぬか