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久方の天の川原に住む鶴も
心にあらぬ音をや鳴くらむ

歌の意味
天の川の河原に住む鶴も、心ならずも声をあげて鳴いているのだろうか。
鑑賞
恋歌 433

詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
 天の川の河原に住む鶴も、自分と同じように心ならずも声をあげて鳴いているのだろうかと、恋に泣く自分の思いを天上の鶴に重ねた歌である。

 初句「久かたの」は、「天」にかかる枕詞で、前歌と同じ初句である。
 二句「あまの川原に」は、天の川の河原にの意で、恋人たちが隔てられる七夕伝説を思わせる。
 三句「すむたづも」は、住む鶴もの意で、「たづ」は鶴の歌語である。
 四句「心にあらぬ」は、心ならずもの意である。底本の注記によれば、定家所伝本では四句に異同がある。
 結句「音をや鳴くらむ」の「や」は疑問の係助詞で、「らむ」と連体形で結ぶ。鶴が鳴くことと自分が泣くこととを重ねている。

たづ:鶴の歌語
ねをなく:声をあげて泣く
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
久方の天飛ぶ雲の風をいたみ 我はしか思ふ妹にし逢はねば
次の歌
わが恋は天の原飛ぶ葦鶴の 雲居にのみや鳴き渡りなむ