古典和歌stream

白真弓磯辺の山の松の色の
常磐に物を思ふころかな

歌の意味
磯辺の山の松の色がいつも変わらないように、変わることなく物思いをしているこのごろだなあ。
鑑賞
恋歌 441

詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
 磯辺の山に生える松の緑がいつも変わらないように、自分も絶えず恋の物思いをしているこのごろだと詠んだ歌である。松の常緑に、変わらない恋心を託している。
 この歌は『新勅撰和歌集』に入集している。底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では句に異同がある。ここでは底本の本文に従う。

 初句「しらま弓」は、白木の弓の意で、弓を射る意から「い」の音を持つ「いそ」にかかる枕詞である。
 二句「いそべの山の」は、磯辺にある山のの意である。
 三句「松の色の」は、松の緑の色のようにの意で、字余りである。ここまでが「ときは」を導く序詞である。
 四句「ときはに物を」は、いつも変わらずに物思いをの意である。
 結句「おもふころかな」の「かな」は詠嘆である。前歌の年月の歌に続き、変わらない時の長さを松に託している。

しらまゆみ:白木の弓、枕詞
ときは:いつまでも変わらないこと
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
奥山の末のたつきもいざ知らず 妹に逢はずて年の経ゆけば
次の歌
葦鴨の騒ぐ入江の浮草の うきてや物を思ひ渡らむ