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よそにてもあるべきものをなかなかに
何しか人に睦れそめけむ

歌の意味
無関係なままでいてもよかったのに、なまじっか、どうしてあの人と親しくなり始めてしまったのだろう。
鑑賞
恋歌 452

詞書は前の歌に続き「恋の歌の中に」
 ただ遠くから思っているだけでもよかったのに、なまじ親しくなってしまったばかりに苦しみが増したと、恋の始まりを悔やむ歌である。「恋の歌の中に」の一連をしめくくる一首である。
 類従本では「一本及印本所載歌」の部に収める。

 初句「よそにても」は、無関係なままでもの意である。
 二句「あるべきものを」は、いてよかったのにの意で、「ものを」は逆接の詠嘆を表す。
 三句「なかなかに」は、かえってなまじっかの意で、字余りである。
 四句「なにしか人に」は、どうしてあの人にの意で、「しか」は強意である。
 結句「むつれそめけむ」は、親しくなり始めたのだろうの意で、「けむ」は過去の原因推量である。巻頭の第四百七首が恋の始まりを花に託したのに対し、一連の末では恋の始まりを悔やんで閉じている。

むつる:親しくなる、なれ親しむ
よそ:無関係なこと
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
それをだに思ふ事とてちはやぶる 神の社に祈がぬ日はなし
次の歌
豊国の企救の長浜夢にだに まだ見ぬ人に恋や渡らむ