古典和歌stream

石上ふるの高橋古りぬとも
元つ人には恋や渡らむ

歌の意味
石上の布留の高橋が古びてしまっても、昔なじみの人にはずっと恋い続けるのだろうか。
鑑賞
恋歌 455

詞書は前の歌に続き「名所の恋の心をよめる」
 大和の石上にある布留の高橋が古びるように年月が過ぎても、昔なじみの人には変わらず恋い続けるだろうと詠んだ歌である。地名の「布留」から「古り」を引き出している。
 賀茂真淵はこの歌に合点を付している。

 初句「いそのかみ」は、大和国の地名の石上で、「ふる」にかかる枕詞である。
 二句「ふるの高橋」は、布留川に架かる高い橋で、地名の布留と古るとを掛ける。
 三句「ふりぬとも」は、古びてしまってもの意で、二句の「ふる」と音を重ねている。
 四句「もとつ人には」は、昔なじみの人にはの意である。
 結句「恋や渡らむ」は、前二首と同じ結句で、橋を渡ることとも響き合う。

ふる:地名の布留と、古るの意を掛ける
もとつひと:昔なじみの人
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
大荒木の浮田の森に引く標の うちはへてのみ恋や渡らむ
次の歌
淡路島通ふ千鳥のしばしばも 羽掻く間なく恋や渡らむ