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奥山の岩垣沼に木の葉落ちて
沈める心人知るらめや

歌の意味
奥山の岩に囲まれた沼に木の葉が落ちて沈むように、沈みこんでいる私の心をあの人は知っているだろうか、いや知りはしない。
鑑賞
恋歌 463

詞書は前の歌に続き「名所の恋の心をよめる」
 奥山の岩に囲まれた沼に落ちて沈んだ木の葉のように、人知れず沈みこんだ自分の心を、あの人が知るはずもないと詠んだ歌である。
 底本の注記によれば、定家所伝本では二句を六音とする。ここでは底本の本文に従う。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。

 初句「おく山の」は、奥深い山のの意である。
 二句「岩がき沼に」は、岩に垣のように囲まれた沼にの意である。
 三句「木葉落ちて」は、木の葉が落ちての意で、字余りである。
 四句「しづめる心」は、沈んでいる心の意で、木の葉が沈むことと心が沈むこととを重ねる。前歌の湧き返る水に対し、静まった沼の水を置いている。
 結句「人知るらめや」の「らめや」は現在推量の「らむ」の已然形に反語の「や」が付いた形で、知っているだろうか、いや知るまいの意である。

いはがきぬま:岩に囲まれた沼
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
神山の山下水の湧き返り 言はで物思ふ我ぞ悲しき
次の歌
山城の岩田の森のいはずとも 秋の梢はしるくやあるらむ