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東路のみちのおくなる白河の
せきあへぬ袖をもる涙かな

歌の意味
東国への道の奥、陸奥にある白河の関のように、せき止めきれない袖から漏れ落ちる涙であることよ。
鑑賞
恋歌 471

詞書は前の歌に続き「名所の恋の心をよめる」
 東国の道の奥、陸奥の白河の関の名を借り、関がせき止めきれないように、袖でもせき止めきれずにあふれ出る涙を詠んだ歌である。
 底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では初句に異同がある。ここでは底本の本文に従う。

 初句「東路の」は、東国へ向かう道のの意である。
 二句「みちのおくなる」は、道の奥にあるという意と、陸奥国の意とを掛けている。
 三句「白川の」は、陸奥の歌枕の白河の関のの意で、関から「せき」を導く。
 四句「せきあへぬ袖を」は、せき止めきれない袖をの意で、「せき」に関と堰きとを掛ける。
 結句「もる涙かな」の「もる」は、涙が漏れることと、関を守ることとを響かせる。「かな」は詠嘆である。前々歌の衣に続き、ここでは涙に濡れる袖が詠まれている。

みちのおく:道の奥の意と、陸奥国を掛ける
せく:流れをせき止める、地名の関を掛ける
もる:漏れる意と、関を守る意を掛ける
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
伊勢島や一志の海人の捨て衣 逢ふことなみに朽ちや果てなむ
次の歌
涙こそ行方も知らぬ三輪の崎 佐野の渡りの雨の夕暮