唐衣着馴の里に君を置きて
しま松の木の待てば苦しも
- 歌の意味
-
着なれの里にあなたを置いて、島の松の木のように待っていると苦しいことだ。
- 鑑賞
-
恋歌 474
詞書は前の歌に続き「名所の恋の心をよめる」
着なれの里にあなたを残してきて、島の松の名のように待ち続けていると苦しいと詠んだ歌である。前歌の「まて」を受け、待つ恋の苦しさを続けている。
類従本では「一本及印本所載歌」の部に収める。
初句「からごろも」は、唐風の衣の意で、「着」の音を持つ「きなれ」にかかる枕詞である。
二句「きなれの里に」は、着なれの里にの意で、衣を着慣れることと地名とを掛ける。
三句「君をおきて」は、あなたを置いての意で、字余りである。
四句「しま松の木の」は、島の松の木のようにの意で、「松」から「待て」を導く。
結句「まてば苦しも」は、待っていると苦しいことだの意で、「も」は詠嘆である。前歌の結句の「まてば」と同じ語である。
からごろも:唐風の衣、枕詞
きなる:着慣れる、地名を掛ける
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
人知れず思へば苦し武隈の まつとは待たじ待てばすべなし
- 次の歌
-
わが背子を待乳の山の葛かづら たまさかにだにくる由もがな