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心をし信夫の里に置きたらば
あふくま川は見まく近けむ

歌の意味
心を信夫の里に置いておいたならば、逢うという名の阿武隈川は、見るのも近いだろう。
鑑賞
恋歌 477

詞書は前の歌に続き「名所の恋の心をよめる」
 忍ぶという名の信夫の里に心を置いておけば、逢うという名を持つ阿武隈川も近くに見られるだろうと、地名を重ねて逢瀬を願った歌である。
 底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では四句に異同があり、原本では結句を誤っているとされる。

 初句「心をし」の「し」は強意の副助詞である。
 二句「しのぶの里に」は、陸奥の信夫の里にの意で、忍ぶ心を掛ける。前歌の「しのぶ山」を受けている。
 三句「おきたらば」は、置いておいたならばの意である。
 四句「あふくま川は」は、陸奥の阿武隈川で、「逢ふ」を掛けている。
 結句「みまく近けむ」は、見ることも近いだろうの意で、「まく」は「む」の名詞化した形である。

あふくまがは:陸奥の阿武隈川と、逢ふの意を掛ける
みまく:見ること
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
信夫山下行く水の年を経て 湧きこそ返れ逢ふよしをなみ
次の歌
雲のゐる吉野の岳に降る雪の 積もり積もりて春に逢ひにけり