思ひ絶えわびにしものを今さらに
野中の水の我を頼むる
- 歌の意味
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思いを断ち切ろうとして苦しんでいたのに、今さら野中の清水のように、私に頼みに思わせるのか。
- 鑑賞
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恋歌 486
詞書は前の歌に続き「名所の恋の心をよめる」
もう思いを断とうと苦しんでいたのに、今になって昔の野中の清水のように再び頼みに思わせてくると、相手の心変わりに揺れる心を詠んだ歌である。古今集の「いにしへの野中の清水ぬるけれど」の歌を踏まえ、昔なじみの象徴として野中の水を用いている。
底本は初句に「たえ」と傍記する。底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では初句と結句に異同がある。ここでは底本の本文に従う。
初句「思ひたへ」は、思いを断ち切っての意である。
二句「わびにしものを」は、思い悩んでいたのにの意で、「ものを」は逆接である。
三句「今さらに」は、今になってとの意である。
四句「野中の水の」は、野中の清水のようにの意で、古今集の歌に詠まれた昔なじみの象徴である。前歌までの海や川の景から野の水へと移っている。
結句「われをたのむる」は、私に頼みに思わせるの意で、下二段の「たのむ」の連体形で詠嘆を込めて結んでいる。
たのむ:下二段で、頼みに思わせる
わぶ:思い悩む
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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わが恋は加古の渡りの綱手縄 たゆたふ心やむ時もなし
- 次の歌
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水茎の岡辺の真葛かれしより 身をあき風の吹かぬ日はなし