君により我とはなしに須磨の浦に
藻塩垂れつつ年を経ぬらむ
- 歌の意味
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あなたのために、自分から望んだわけでもないのに、須磨の浦で藻塩の水を垂らす海人のように、涙を流しながら年を過ごしてしまったのだろうか。
- 鑑賞
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恋歌 490
詞書は前の歌に続き「名所の恋の心をよめる」
あなたのせいで、自ら望んだわけでもないのに、須磨の浦で藻塩を垂れる海人のように涙に濡れて年月を過ごしてしまったのかと嘆いた歌である。在原行平の「わくらばに問ふ人あらば須磨の浦に藻塩たれつつわぶと答へよ」の歌を踏まえている。
底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では結句に異同がある。ここでは底本の本文に従う。
初句「君により」は、あなたのためにの意である。
二句「我とはなしに」は、自分から望んだわけでもないのにの意である。
三句「須磨の浦に」は、摂津国の歌枕の須磨の浦にの意で、字余りである。在原行平が流謫の身を嘆いた地として知られる。
四句「藻塩たれつつ」は、藻塩を作るために海水を垂らしながらの意で、涙を流すことを重ねる。本巻の第四百三十六首の「藻塩やく」と同じく、藻塩の景を恋に用いている。
結句「年をへぬらむ」は、前歌と同じ結句である。
もしほ:塩を取るための海藻、またその塩
たる:水を垂らす、涙を流す
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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沖つ波打出の浜の浜久木 しをれてのみや年を経ぬらむ
- 次の歌
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住の江のまつこと久になりにけり 来むと頼めて年の経ぬらむ