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隠れ沼の下這ふ葦の水隠りに
我ぞ物思ふ行方知らねば

歌の意味
隠れた沼の水の下を這う葦が水に隠れているように、私はひそかに物思いをしている。恋の行方がわからないので。
鑑賞
恋歌 496

詞書「寄沼忍恋」
 人目につかない沼の水の下に根を這わせて隠れる葦のように、恋の行方もわからないまま、ひそかに物思いをしていると詠んだ歌である。
 この歌は『続後撰和歌集』に入集している。類従本では題を「ぬまに寄てしのぶ恋」とする。

 初句「かくれぬの」は、草などに隠れて見えない沼のの意である。
 二句「したはふ蘆の」は、水の下を這う葦のの意である。
 三句「みごもりに」は、水に隠れての意で、人目を忍ぶことを重ねる。ここまでが序詞である。
 四句「われぞ物おもふ」の「ぞ」は係助詞で、「おもふ」と連体形で結ぶ。
 結句「行方しらねば」は、行方がわからないのでの意で、倒置によって理由を後に置いている。本巻の第四百三十一首の「行方さだめぬ」と同じく、恋の行方の不確かさを表す。

かくれぬ:隠れて見えない沼
みごもり:水の中に隠れること
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
思ひきやありし昔の月影を 今は雲居のよそに見むとは
次の歌
わが恋は夏野の薄しげけれど ほにしあらねば問ふ人もなし