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わが恋は夏野の薄しげけれど
ほにしあらねば問ふ人もなし

歌の意味
私の恋は夏野のすすきのようにしげく思っているが、穂が出ないように表に出さないので、尋ねてくれる人もいない。
鑑賞
恋歌 497

詞書「寄草忍恋」
 夏野のすすきが茂るようにしげく思っているが、まだ穂が出ないように恋心を表に出さないので、尋ねてくれる人もいないと詠んだ歌である。

 初句「わが恋は」は、私の恋はの意である。
 二句「夏野のすすき」は、夏の野のすすきの意で、まだ穂の出ない夏のすすきである。
 三句「しげけれど」は、茂っているけれどの意で、思いのしげさを重ねる。本巻の第四百十首の「しげき」と同じく、茂る草に恋の思いを託している。
 四句「ほにしあらねば」は、穂ではないのでの意で、「ほ」に穂と表とを掛け、表に出さないことをいう。
 結句「とふ人もなし」は、尋ねてくれる人もいないの意である。

ほ:すすきの穂と、表に現れることを掛ける
とふ:訪ねる、様子を尋ねる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
隠れ沼の下這ふ葦の水隠りに 我ぞ物思ふ行方知らねば
次の歌
秋風になびく薄のほには出でず 心乱れて物を思ふかな