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さ筵に露のはかなくおきて去なば
暁ごとに消えや渡らむ

歌の意味
むしろに置く露がはかないように、はかなく起きて去ってゆくならば、明け方ごとに私は消え続けてしまうのだろうか。
鑑賞
恋歌 504

詞書は前の歌に続き「暁恋」
 敷物の上に置くはかない露のように、恋人が明け方ごとにはかなく起きて去ってゆくならば、自分は暁のたびに消え入ってしまうだろうと詠んだ歌である。前歌の後朝の別れを、待つ側の思いとして詠んでいる。
 この歌は『新勅撰和歌集』に入集している。

 初句「さむしろに」は、敷物の上にの意で、「さ」は接頭語である。
 二句「露のはかなく」は、露のようにはかなくの意である。
 三句「おきていなば」は、露が置くことと、起きることとを掛け、起きて去ってしまうならばの意となる。字余りである。前歌の「おきてし行けば」に対応している。
 四句「曉ごとに」は、明け方のたびにの意で、前二首の初句の「暁」を受けている。
 結句「消えやわたらむ」の「や」は疑問の係助詞で、「む」と連体形で結ぶ。本巻の第四百十五首と同じ結句である。前歌の去る側に対し、去られる側の嘆きを詠んでいる。

さむしろ:敷物、むしろ
おく:露が置く意と、起きる意を掛ける
いぬ:去る
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
暁の露やいかなる露ならむ おきてし行けばわびしかりけり
次の歌
消えなまし今朝訪ねずば山城の 人来ぬ宿の道芝の露