待てとしも頼めぬ人の葛の葉も
あだなる風をうらみやはせむ
- 歌の意味
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待てとさえ頼みに思わせてくれない人であるから、葛の葉が気まぐれな風に裏を見せるように、恨んだりはしようか、いやしない。
- 鑑賞
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恋歌 516
詞書は前の歌に続き「待恋の心をよめる」
待っていてくれとさえ約束しない人なのだから、葛の葉が気まぐれな風に吹かれて裏を見せるようには、恨むことなどしないと詠んだ歌である。恨むまいとする言葉の裏に、かえって恨めしい思いがにじんでいる。
底本は結句に「せぬ」と傍記する。底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では結句に異同がある。ここでは底本の本文に従う。
初句「待てとしも」は、待てとさえの意で、「しも」は強意である。
二句「たのめぬ人の」は、頼みに思わせない人のの意である。前歌までの来ない人に対し、約束さえしない人を詠む。
三句「くずの葉も」は、葛の葉もの意で、葛は風に葉を裏返すことから「裏見」を導く。
四句「あだなる風を」は、気まぐれな風をの意で、移り気な人を重ねる。
結句「うらみやはせむ」は、裏見と恨みとを掛け、「やは」は反語で、恨んだりしようか、いやしないの意である。
うらみ:葛の葉が裏を見せる意の裏見と、恨みを掛ける
たのむ:下二段で、頼みに思わせる
あだなり:気まぐれだ、誠意がない
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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陸奥の真野の萱原かりにだに 来ぬ人をのみ待つが苦しき
- 次の歌
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忍ぶれば苦しきものを山の端に さし出づる月の影に見えなむ