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恨みわび待たじと思ふ夕べだに
なほ山の端に月は出でにけり

歌の意味
恨み疲れて、もう待つまいと思う夕べでさえ、やはり山の端に月は出てきたことだ。
鑑賞
恋歌 518

詞書は前の歌に続き「寄月待人」
 恨み疲れてもう待つまいと決めた夕べでさえ、月はいつものように山の端に出てきたと詠んだ歌である。待つまいとしても月を見れば待つ心が起こる、その切なさを月の出に託している。
 類従本では「一本及印本所載歌」の部に収める。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。

 初句「うらみわび」は、恨み疲れての意である。
 二句「待たじとおもふ」は、もう待つまいと思うの意で、「じ」は打消の意志である。
 三句「夕べだに」は、夕べでさえの意で、「だに」は類推を表す。
 四句「なほ山のはに」は、やはり山の端にの意で、前歌の「山の端に」と同じ語である。
 結句「月は出でにけり」は、月は出たことだの意で、「けり」は詠嘆である。前歌では自らが月のように見えたいと願ったのに対し、ここでは待つまいとする夕べにも月が出る。

うらみわぶ:恨み疲れる
やまのは:山の稜線
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
忍ぶれば苦しきものを山の端に さし出づる月の影に見えなむ
次の歌
待てとしも頼めぬ山も月は出でぬ 言ひしばかりの夕暮の空