待てとしも頼めぬ山も月は出でぬ
言ひしばかりの夕暮の空
- 歌の意味
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待てとさえ約束しない山にも月は出た。あの人が来ると言っただけの夕暮れの空に。
- 鑑賞
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恋歌 519
詞書は前の歌に続き「寄月待人」
待てとさえ約束してくれない山の端にも月は出たのに、あの人は来ると言っただけで来ない夕暮れの空であると詠んだ歌である。素性法師の「今来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな」を踏まえている。
賀茂真淵は、四句の言い回しが巧みに過ぎるのは後世風であると評している。
初句「待てとしも」は、待てとさえの意で、本巻の第五百十六首の初句と同じ句である。
二句「たのめぬ山も」は、約束しない山にもの意で、第五百十六首の「たのめぬ人の」を山に置き換えている。
三句「月はいでぬ」は、月は出たの意で、前歌の結句「月は出でにけり」を受け、ここで句切れとなる。
四句「いひしばかりの」は、来ると言っただけのの意で、本歌の「言ひしばかりに」を踏まえている。
結句「夕暮の空」は体言止めである。約束しない山には月が出て、約束した人は来ないという対比によって、待つ恋の題をしめくくっている。
たのむ:下二段で、頼みに思わせる、約束する
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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恨みわび待たじと思ふ夕べだに なほ山の端に月は出でにけり
- 次の歌
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わが袖に覚えず月ぞ宿りける 問ふ人あらばいかが答へむ