- 歌の意味
- すっかり消え入って、あるかないかの様子で物思いをしている。色あせてゆく秋の花の上に置く霜のように。
- 鑑賞
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恋歌 535
詞書は前の歌に続き「寄菊恋」
色あせてゆく秋の菊の花の上に置く霜のように、すっかり消え入って生きているのかいないのかわからないほど、恋に思い悩んでいると詠んだ歌である。
初句「きえかへり」は、すっかり消え入っての意である。
二句「あるかなきかに」は、あるのかないのかわからないほどにの意である。
三句「物ぞ思ふ」の「ぞ」は係助詞で、「思ふ」と連体形で結ぶ。ここで句切れとなる。
四句「うつろふ秋の」は、色あせてゆく秋のの意で、前歌の「色のかはる」を受けている。
結句「花の上の霜」は体言止めで、本巻の第四百八十八首の結句「花の上の露」と対をなす。消えかかる霜に、消え入りそうな自分を重ねている。
きえかへる:すっかり消え入る
うつろふ:色あせる、心変わりする
- 作者
- 源実朝
- 出典
- 金槐和歌集
- 前の歌
- 菊よりも人の心は初霜の 置きあへず色の変はるなりけり
- 次の歌
- 七夕にあらぬわが身のなぞもかく 年に稀なる人を待つらむ