七夕にあらぬわが身のなぞもかく
年に稀なる人を待つらむ
- 歌の意味
-
織女でもない私の身が、どうしてこのように、一年にまれにしか逢えない人を待っているのだろう。
- 鑑賞
-
恋歌 536
詞書「寄七夕恋」
一年に一度しか牽牛に逢えない織女でもない自分が、どうしてこのように年にまれにしか訪れない人を待ち続けているのかと嘆いた歌である。
底本では結句を「待つなむ」とするが、文意から「待つらむ」とする。
初句「たなばたに」は、織女にの意で、七夕の夜に年に一度牽牛と逢うとされる。
二句「あらぬわが身の」は、そうではない私の身のの意である。
三句「なぞもかく」は、どうしてこのようにの意で、結句の「らむ」と呼応する。
四句「年に稀なる」は、一年にまれにしか来ないの意で、織女と牽牛の逢瀬を思わせる。
結句「人を待つらむ」は、人を待っているのだろうの意で、「らむ」は原因推量である。本巻の第四百十五首のかささぎの橋と同じく、七夕伝説を恋に用いている。
たなばた:織女
なぞ:どうして
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
消え返りあるかなきかに物ぞ思ふ 移ろふ秋の花の上の霜
- 次の歌
-
忍びあまり恋しき時は天の原 空飛ぶ雁の音に鳴きぬべし