雲隠れ鳴きて行くなる初雁の
はつかに見てし人は恋しき
- 歌の意味
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雲に隠れて鳴きながら飛んでゆく初雁の声がかすかに聞こえるように、わずかに見ただけの人が恋しい。
- 鑑賞
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恋歌 538
詞書は前の歌に続き「寄雁恋」
雲に隠れて鳴きながら渡ってゆく初雁の声がかすかに聞こえるように、ほんのわずかに見かけただけの人が恋しいと詠んだ歌である。「初雁」から同音の「はつか」を引き出している。
底本の注記によれば、類従本と定家所伝本では四句に異同がある。ここでは底本の本文に従う。
初句「雲がくれ」は、雲に隠れての意である。
二句「鳴きて行くなる」は、鳴いて飛んでゆくようだの意で、「なる」は音による推定である。
三句「初雁の」は、秋に初めて渡ってくる雁のの意で、同音から「はつか」を導く。前歌の雁を受けている。
四句「はつかに見てし」は、わずかに見たの意である。
結句「人は恋しき」は、人が恋しいの意で、連体形で詠嘆を込めて結んでいる。本巻の第四百二十六首の「ほのかに見えし」と同じく、わずかに見た人への恋を詠んでいる。
はつかり:秋に初めて渡ってくる雁
はつか:わずか、ほのか
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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忍びあまり恋しき時は天の原 空飛ぶ雁の音に鳴きぬべし
- 次の歌
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秋の野に朝霧隠れ鳴く鹿の ほのかにのみや聞き渡りなむ