秋の野に朝霧隠れ鳴く鹿の
ほのかにのみや聞き渡りなむ
- 歌の意味
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秋の野で朝霧に隠れて鳴く鹿の声のように、あの人のことをほのかに聞くばかりで過ごすのだろうか。
- 鑑賞
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恋歌 539
詞書「寄鹿恋」
秋の野で朝霧に隠れて姿の見えない鹿の声がかすかに聞こえるように、恋しい人のことをほのかに聞くばかりで、逢うこともないまま過ごすのだろうかと嘆いた歌である。
この歌は『続古今和歌集』に入集している。底本の注記によれば、定家所伝本では初句に異同がある。ここでは底本の本文に従う。
初句「秋の野に」は、本巻の第四百二十一首と同じ初句である。
二句「朝ぎりがくれ」は、朝霧に隠れての意である。
三句「なく鹿の」は、鳴く鹿の声のようにの意で、ここまでが「ほのか」を導く。前歌の雲に隠れる雁から、霧に隠れる鹿へと移っている。
四句「ほのかにのみや」は、かすかにばかりの意で、「や」は疑問の係助詞で、結句の「なむ」と連体形で結ぶ。
結句「聞き渡りなむ」は、聞き続けることになるのだろうかの意である。
あさぎり:朝に立つ霧
ききわたる:聞き続ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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雲隠れ鳴きて行くなる初雁の はつかに見てし人は恋しき
- 次の歌
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黄金掘る陸奥山に立つ民の 命も知らぬ恋もするかな