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黄金掘る陸奥山に立つ民の
命も知らぬ恋もするかな

歌の意味
黄金を掘る陸奥の山で働く民が命も顧みないように、命も惜しまない恋をすることだなあ。
鑑賞
恋歌 540

詞書「寄金恋」
 黄金を掘るために陸奥の山に入って働く民が命も顧みないように、自分も命を惜しまない恋をしていると詠んだ歌である。黄金を産する陸奥の山という独特の題材を用いている。
 類従本では題を「こがねによする恋」とする。賀茂真淵はこの歌に合点を付している。

 初句「黄金ほる」は、黄金を掘るの意である。
 二句「みちのく山に」は、陸奥の山にの意で、陸奥は金の産地として知られた。
 三句「たつ民の」は、山に入って働く民のの意である。
 四句「いのちもしらぬ」は、命も顧みないの意である。
 結句「恋もするかな」は、本巻の第五百三十二首と同じ結句である。前歌までの自然の景から、人の営みへと題材が移っている。

こがね:黄金
たみ:人民、庶民
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
秋の野に朝霧隠れ鳴く鹿の ほのかにのみや聞き渡りなむ
次の歌
逢ふ事のなき名をたつの市による かねて物思ふ我が身なりけり