津の国のこやの丸屋の葦簾
間遠になりぬ行き合はずして
- 歌の意味
-
摂津の国の昆陽の粗末な小屋の葦すだれの編み目が粗いように、間遠になってしまった。逢わないままで。
- 鑑賞
-
恋歌 543
詞書「寄簾恋」
摂津の国の昆陽の粗末な小屋に掛けた葦すだれの編み目が粗いように、恋人の訪れも間遠になってしまい、逢えないままだと詠んだ歌である。
賀茂真淵はこの歌に合点を付している。
初句「津の国の」は、摂津国のの意である。
二句「こやのまろやの」は、摂津の昆陽と、小屋とを掛け、粗末な丸屋のの意となる。
三句「蘆すだれ」は、葦で編んだすだれの意で、編み目の粗さから「まどほ」を導く。
四句「まどほになりぬ」は、間遠になってしまったの意で、すだれの目の粗さと訪れの間遠さとを重ねる。本巻の第五百二首の「間遠なるらむ」と同じ語である。ここで句切れとなる。
結句「行きあはずして」は、逢わないままでの意で、本巻の第四百九十二首と同じ結句である。
こや:地名の昆陽と、小屋を掛ける
まろや:葦や萱で葺いた粗末な小屋
まどほ:間が遠いこと、編み目が粗いこと
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
忘らるる身はうらぶれぬ唐衣 きてもたちにし名こそ惜しけれ
- 次の歌
-
別れにし昔は露か浅茅原 跡なき野辺にあき風ぞ吹く