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真菰生ふる淀の沢水水錆ゐて
影し見えねば問ふ人もなし

歌の意味
真菰の生える淀の沢の水に水錆が浮いて、影も映らないので、訪れる人もいない。
鑑賞
恋歌 546

詞書は前の歌に続き「水辺恋」
 真菰の生える淀の沢の水に水錆が浮いて、姿も映らないように、自分の姿も人目に見えないので、訪れる人もいないと詠んだ歌である。前歌と同じ真菰を詠み、水辺の恋の二首を並べている。
 底本は三句の「水草」に「みさび」と振り仮名を付し、「みぐさ」と傍記する。類従本では三句を「みさびゐて」とする。ここでは「みさびゐて」とする。

 初句「真菰おふる」は、真菰の生えるの意で、字余りである。前歌の「真菰」を受けている。
 二句「淀の沢水」は、山城国の淀の沢の水の意である。
 三句「みさびゐて」は、水面に水錆が浮いての意である。
 四句「かげし見えねば」は、姿も映らないのでの意で、前歌の「目にし見えねば」と同じ形である。
 結句「とふ人もなし」は、訪れる人もいないの意で、本巻の第四百九十七首と同じ結句である。

みさび:水面に浮く赤さびのような水垢
さはみづ:沢の水
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
三島江や玉江の真菰水隠れて 目にし見えねばかる人もなし
次の歌
うき波の小島の海人の濡れ衣 濡るとな言ひそ朽ち果つるとも