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うき波の小島の海人の濡れ衣
濡るとな言ひそ朽ち果つるとも

歌の意味
憂き波の寄せる雄島の海人の濡れた衣のように、無実の噂を立てられても、濡れているなどと言わないでくれ。たとえ朽ち果ててしまおうとも。
鑑賞
恋歌 547

詞書「海辺恋」
 つらい波の寄せる雄島の海人の衣が濡れるように、無実の浮き名を着せられても、濡れているなどと人に言わないでほしい、たとえこの身が朽ち果てようともと詠んだ歌である。「ぬれ衣」に濡れた衣と無実の罪とを掛けている。
 底本の初句は表記に乱れがあり、ここでは底本の注記に示された類従本と定家所伝本の「うきなみの」に従う。底本は結句に「はつとも」と傍記し、類従本と定家所伝本では結句を「朽ちははつとも」とする。

 初句「うきなみの」は、浮き波と憂き波とを掛け、つらい波のの意となる。
 二句「小島の海士の」は、陸奥の歌枕の雄島の海人のの意である。
 三句「ぬれ衣」は、濡れた衣と、無実の罪とを掛けている。
 四句「ぬるとないひそ」は、濡れているなどと言うなの意で、「な〜そ」は禁止である。ここで句切れとなる。三句の「ぬれ」と音を重ねている。
 結句「朽ちはつるとも」は、たとえ朽ち果ててしまってもの意で、倒置となっている。本巻の第四百七十首の「朽ちやはてなむ」と同じく、海人の衣が朽ちることに恋の身を重ねている。

うき:浮きと、憂きを掛ける
ぬれぎぬ:濡れた衣と、無実の罪を掛ける
をじま:陸奥の歌枕の雄島
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
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