故郷の杉の板屋の隙を粗み
行き合はでのみ年の経ぬらむ
- 歌の意味
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古里の杉の板葺きの家の板の隙間が粗いように、行き逢うこともないまま年が過ぎてしまったのだろう。
- 鑑賞
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恋歌 548
詞書「故郷恋」
古びた里の杉の板葺きの家の板が隙間だらけで合わないように、恋人と行き逢うこともないまま年月が過ぎてしまったと詠んだ歌である。ここから古里に寄せる恋の歌が続く。
賀茂真淵はこの歌に合点を付している。
初句「故郷の」は、古びた里のの意で、かつて通った人の訪れが絶えた所を思わせる。
二句「杉の板屋の」は、杉の板で屋根を葺いた家のの意である。
三句「ひまをあらみ」は、隙間が粗いのでの意で、「を〜み」は原因や理由を表す。字余りであり、板の合わないことから「行きあはで」を導く。
四句「行きあはでのみ」は、行き逢わないままでばかりの意で、本巻の第五百四十三首の結句「行きあはずして」を受けている。
結句「年の経ぬらむ」は、年が過ぎてしまったのだろうの意で、本巻の第四百九十一首と同じ結句である。
いたや:板で屋根を葺いた家
ひま:すきま
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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うき波の小島の海人の濡れ衣 濡るとな言ひそ朽ち果つるとも
- 次の歌
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草深みさしも荒れたる宿なるを 露を形見に尋ね来しかな