- 歌の意味
- 草が深いので、あれほど荒れてしまった宿であるのに、草葉の露を形見として訪ねてきたことだ。
- 鑑賞
-
恋歌 549
詞書は前の歌に続き「故郷恋」
草が深く茂って、すっかり荒れ果ててしまった昔の恋人の家を、草葉に置く露を形見として訪ねてきたと詠んだ歌である。露には、昔をしのぶ涙も重ねられている。
賀茂真淵は四句の「露をかたみに」を後世風であると評している。
初句「草ふかみ」は、草が深いのでの意で、「み」は原因や理由を表す。
二句「さしも荒れたる」は、あれほど荒れてしまったの意である。前歌の古里の家を受けている。
三句「宿なるを」は、家であるのにの意で、「を」は逆接である。
四句「露をかたみに」は、露を形見としての意で、露に涙を重ねる。
結句「尋ねこしかな」は、訪ねてきたことだの意で、「かな」は詠嘆である。
かたみ:昔をしのぶよすがとなるもの
さしも:あれほど
- 作者
- 源実朝
- 出典
- 金槐和歌集
- 前の歌
- 故郷の杉の板屋の隙を粗み 行き合はでのみ年の経ぬらむ
- 次の歌
- しのぶ草忍び忍びに置く露を 人こそ問はね宿は古りにき