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宿は荒れて古きみ山の松にのみ
問ふべきものと風の吹くらむ

歌の意味
家は荒れて、古い山の松にだけ訪れるべきものと思って、風が吹いているのだろうか。
鑑賞
恋歌 551

詞書は前の歌に続き「故郷恋」
 恋人の家は荒れ果てて誰も訪れず、ただ古い山の松だけを訪ねるものと心得て、風が吹いているのだろうかと詠んだ歌である。訪れるのは風ばかりという寂しさを表している。

 初句「宿は荒れて」は、家は荒れての意で、字余りである。
 二句「ふるきみ山の」は、古い深山のの意である。
 三句「松にのみ」は、松にだけの意で、「松」に「待つ」を響かせる。
 四句「とふべきものと」は、訪ねるべきものとしての意で、前歌の「人こそとはね」に対し、人は訪れず風だけが訪れることをいう。
 結句「風のふくらむ」は、風が吹いているのだろうかの意で、「らむ」は現在推量である。

みやま:奥深い山
とふ:訪ねる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
しのぶ草忍び忍びに置く露を 人こそ問はね宿は古りにき
次の歌
荒れにけり頼めし宿は草の原 露の軒端にまつ虫の鳴く