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里は荒れて宿は朽ちにし跡なれや
浅茅が露に松虫の鳴く

歌の意味
里は荒れて、家は朽ちてしまった跡だからだろうか。浅茅に置く露の中で松虫が鳴いている。
鑑賞
恋歌 553

詞書は前の歌に続き「故郷恋」
 里は荒れて家も朽ち果てた跡だからだろうか、浅茅に置いた露の中で松虫が鳴いていると、荒廃した古里の寂しさを詠んだ歌である。前歌と同じ結句を用い、古里に寄せる恋の一連をしめくくっている。

 初句「里はあれて」は、里は荒れての意で、字余りである。
 二句「宿は朽ちにし」は、家は朽ちてしまったの意である。
 三句「跡なれや」の「や」は疑問で、跡だからだろうかの意となる。ここで句切れとなる。
 四句「浅茅が露に」は、浅茅に置く露にの意で、本巻の第五百十一首の二句と同じ語である。
 結句「松虫の鳴く」は、前歌と同じ結句である。前歌の軒端から、浅茅の露へと景を移している。

あさぢ:丈の低い茅
くつ:朽ちる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
荒れにけり頼めし宿は草の原 露の軒端にまつ虫の鳴く
次の歌
契りけむこれや昔の宿ならむ 浅茅が原に鶉鳴くなり