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契りけむこれや昔の宿ならむ
浅茅が原に鶉鳴くなり

歌の意味
将来を約束したという、これが昔の宿なのだろうか。浅茅が原にうずらが鳴いているようだ。
鑑賞
恋歌 554

詞書「契むなしくなれるこころを」
 かつて将来を誓い合ったというのは、この昔の家だったのだろうか、今は浅茅の原となり、うずらが鳴いているばかりだと、むなしくなった契りを嘆いた歌である。
 類従本では題を「契むなしくなれるこころをよめる」とし、雑部に収める。

 初句「契りけむ」は、約束したというの意で、「けむ」は過去の伝聞や推量を表す。
 二句「これやむかしの」の「や」は疑問の係助詞で、三句の「む」と連体形で結ぶ。
 三句「宿ならむ」は、家なのだろうかの意で、ここで句切れとなる。
 四句「あさぢが原に」は、浅茅の生えた原にの意で、前歌の「浅茅が露」を受けている。
 結句「うづら鳴くなり」は、うずらが鳴いているようだの意で、「なり」は音による推定である。うずらは荒れた野に鳴く鳥とされた。

ちぎる:将来を約束する
うづら:鶉、荒れた野に鳴く鳥とされる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
里は荒れて宿は朽ちにし跡なれや 浅茅が露に松虫の鳴く
次の歌
山賤の垣穂に咲ける撫子の 花の心を知る人のなき