秋の田の穂の上に巣がくささがにの
いとわればかり物は思はじ
- 歌の意味
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秋の田の稲穂の上に巣をかける蜘蛛の糸のように、まさか私ほどには物思いはしないだろう。
- 鑑賞
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恋歌 559
詞書「ある人のもとに遣はし侍りし」
秋の田の稲穂の上に巣をかける蜘蛛の糸から「いと」を引き出し、ほかの誰も自分ほどにはひどく物思いはしないだろうと詠んだ歌である。ある人のもとへ贈った歌である。
賀茂真淵はこの歌に合点を付している。
初句「秋の田の」は、秋の田のの意である。
二句「穂の上にすがく」は、稲穂の上に巣をかけるの意である。
三句「ささがにの」は、蜘蛛のの意で、蜘蛛の糸から「いと」を導く。ここまでが序詞である。
四句「いとわればかり」は、蜘蛛の糸と、たいそうの意の「いと」とを掛け、たいそう私ほどにはの意となる。
結句「物は思はじ」は、物思いはしないだろうの意で、「じ」は打消推量である。前歌までの古里の荒れた景から、秋の田の実りへと景が移っている。
すがく:蜘蛛が巣をかける
ささがに:蜘蛛
いと:蜘蛛の糸と、たいそうの意を掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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小笹原置く露寒み秋されば まつ虫の音に鳴かぬ夜ぞなき
- 次の歌
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雁のゐる羽風に騒ぐ秋の田の 思ひ乱れてほにぞ出でぬる