難波潟汀の葦のいつまでか
ほは出でずしも秋を忍ばむ
- 歌の意味
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難波潟の水際の葦は、いつまで穂を出さずに秋を耐え忍ぶのだろうか。私もいつまで思いを表に出さずに忍んでいられるだろうか。
- 鑑賞
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恋歌 561
詞書は前の歌に続き「ある人のもとに遣はし侍りし」
難波潟の水際に生える葦が穂を出さずに秋を過ごすように、自分もいつまで恋心を表に出さずに忍んでいられるだろうかと詠んだ歌である。前歌で表に出てしまった恋に対し、なお忍ぼうとする心を詠み、恋部の巻末をしめくくっている。
初句「難波がた」は、摂津国の歌枕の難波潟の意で、本巻の第四百五十七首の初句と同じ語である。
二句「みぎはの葦の」は、水際に生える葦のの意である。
三句「いつまでか」は、いつまでかの意で、「か」は疑問の係助詞で、結句の「む」と連体形で結ぶ。
四句「ほは出でずしも」は、穂を出さずにの意で、「ほ」に穂と表とを掛ける。「しも」は強意である。前歌の「ほにぞ出でぬる」と対をなしている。
結句「秋をしのばむ」は、秋を耐え忍ぶのだろうかの意で、「しのぶ」に忍ぶ恋を響かせる。巻頭の第四百七首が春の散る花で恋部を始めたのに対し、巻末の本歌は秋の葦で忍ぶ恋を詠んで結び、巻頭と巻末が季節の対をなしている。
みぎは:水際
ほ:葦の穂と、表に現れることを掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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雁のゐる羽風に騒ぐ秋の田の 思ひ乱れてほにぞ出でぬる
- 次の歌
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玉鉾の道は遠くもあらなくに 旅と思へばわびしかりけり