草枕旅にしあれば刈り薦の
思ひ乱れていこそ寝られぬ
- 歌の意味
-
旅の途中にあるので、刈り取った薦が乱れるように思い乱れて、眠ることもできない。
- 鑑賞
-
雑歌 564
詞書は前の歌に続き「旅の心を」
旅の身の上で、あれこれと思い乱れて眠れないと詠んだ歌である。刈り取られて乱れる薦のさまに、旅寝の落ち着かない心を重ねている。
類従本では旅の部に収められている。なお底本の表示は結句の一字が判読しにくく、ここでは「いこそねられぬ」と読む。
初句「草枕」は「旅」にかかる枕詞で、前歌と初句、二句を同じくする。前歌が夢さえ見えないと詠んだのを受け、本歌は眠れない理由である思い乱れる心を詠んでいる。
二句「旅にしあれば」は、旅の途中にあるのでの意である。
三句「かりごもの」は、刈り取った薦のの意で、「乱る」にかかる枕詞である。
四句「思ひみだれて」は、あれこれと思い乱れての意である。
結句「いこそねられぬ」は、眠ることもできないの意で、「い」は睡眠を表す名詞、「こそ」は強意の係助詞である。
かりごも:刈り取った薦、乱るにかかる枕詞
い:眠り、睡眠
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
草枕旅にしあれば妹に恋ひ 眠る間をなみ夢さへ見えず
- 次の歌
-
旅衣たもと片敷き今宵もや 草の枕にわれひとり寝む