古典和歌stream

旅寝する伊勢の浜荻露ながら
結ぶ枕に宿る月影

歌の意味
旅寝をする伊勢の浜荻を露のついたまま結んで枕にすると、その枕に月の光が宿っている。
鑑賞
雑歌 566

詞書は前の歌に続き「旅の心を」
 伊勢の浜辺で旅寝をするとき、露を帯びたままの浜荻を結んで枕にすると、その露に月の光が映って宿っていると詠んだ歌である。旅寝の侘しさの中に、月の光の美しさを見いだしている。
 勅撰集の『続古今和歌集』に入集している。類従本では旅の部に「旅歌」と題して収める。賀茂真淵は、露に月影を宿したさまは後の時代の趣向であると評している。

 初句「旅ねする」は、旅寝をするの意である。
 二句「伊勢の浜荻」は、伊勢国の浜辺に生える荻の意で、古くから歌に詠まれた。
 三句「つゆながら」は、露が置いたままでの意である。
 四句「むすぶ枕に」は、結んで作った枕にの意で、草を結んで枕とする旅寝を表す。前歌の「草の枕」を、伊勢の浜荻という具体的な草に置き換えている。
 結句「やどる月影」は、宿っている月の光の意で、体言止めである。旅人が宿るのと同じく、月の光も露に宿るという趣向である。

はまをぎ:浜辺に生える荻、伊勢の名物として詠まれた
むすぶ:草を結び合わせて枕を作る
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
旅衣たもと片敷き今宵もや 草の枕にわれひとり寝む
次の歌
東路の佐夜の中山越えていなば いとど都や遠ざかりなむ