古典和歌stream

湊風いたくな吹きそしなが鳥
猪名の湖舟泊むるまで

歌の意味
湊に吹く風よ、ひどく吹かないでくれ。猪名の湖に舟を泊めるまでは。
鑑賞
雑歌 568

詞書「旅泊」
 舟旅の途中、猪名の湖に舟を泊めるまでは、湊に吹く風よ激しく吹かないでほしいと願う歌である。旅の宿りとしての船泊まりを題とし、舟人の不安な心を詠んでいる。
 類従本では「一本及印本所載歌」の部に収められている。万葉集の「しなが鳥猪名」の言い回しにならった古風な一首である。

 初句「みなと風」は、湊に吹く風の意である。
 二句「いたくな吹きそ」は、ひどく吹かないでくれの意で、「な〜そ」は禁止を表す。二句切れである。
 三句「しながどり」は「猪名」にかかる枕詞である。
 四句「猪名のみづうみ」は、摂津国の猪名の地にある湖の意である。
 結句「舟とむるまで」は、舟を泊めるまではの意で、倒置によって願いの期限を後に示している。

しながどり:猪名にかかる枕詞
とむ:舟を泊める
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
東路の佐夜の中山越えていなば いとど都や遠ざかりなむ
次の歌
也良の崎月影寒し沖つ鳥 鴨といふ舟浮寝すらしも