旅衣裾野の露にうら枯れて
ひもゆふ風に鹿ぞ鳴くなる
- 歌の意味
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旅衣は裾野の露に濡れ、草葉の末も枯れはじめ、日も暮れて紐を結ぶ夕風の中に鹿が鳴いているようだ。
- 鑑賞
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雑歌 574
詞書「羇中鹿」
旅の途中、裾野の草葉は露に濡れて末から枯れはじめ、日が暮れて夕風が吹く中で鹿が鳴いていると詠んだ歌である。前歌の秋風の裾野に鹿の声を加え、旅の悲しみを聴覚によって深めている。
類従本では旅の部に収められている。賀茂真淵は「うらがれて」という語に疑問を呈して「うらびれて」かと推し、「ひも夕風に」については、衣の縁で言うのは後の時代のことであり、縁語を好むのは古意を知る目には卑しく聞こえると評している。
初句「旅衣」は、旅の衣の意で、「すそ」「ひも」と衣の縁語を導いている。前歌と初句を同じくする。
二句「すそ野の露に」は、前歌の四句と同じ句で、「すそ」は衣の裾を響かせる。
三句「うらがれて」は、草木の葉の先が枯れての意である。
四句「ひもゆふ風に」は、日も夕べとなる風にの意で、「ひも」に「日も」と衣の「紐」を、「ゆふ」に「夕」と紐を「結ふ」を掛ける。
結句「鹿ぞ鳴くなる」は、鹿が鳴いているようだの意で、「なる」は音による推定の助動詞、「ぞ」の結びである。
うらがる:草木の葉の先が枯れる
ひも:日も、の意と、衣の紐の意を掛ける
ゆふ:夕べの意と、紐を結う意を掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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旅衣うら悲しかる夕暮の 裾野の露に秋風ぞ吹く
- 次の歌
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秋もはや末野の原に鳴く鹿の 声聞く時ぞ旅は悲しき