- 歌の意味
- ひとりで寝る草の枕に置く夜の露は、連れのいない鹿の流す涙であったのだ。
- 鑑賞
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雑歌 576
詞書は前の歌に続き「羇中鹿」
旅先でひとり草を枕に寝ていると、枕に夜露が置いている。それは妻を求めて鳴く、連れのない鹿の涙だったのだと詠んだ歌である。旅人の孤独と鹿の孤独とが重ねられ、露はそのまま旅人の涙でもある。
類従本では旅の部に収め、三句の「は」がない。
初句「ひとりふす」は、ひとりで横になって寝るの意である。次歌の第五百七十七首と初句、二句を同じくする。
二句「草の枕の」は、草を枕とする旅寝の意である。
三句「よるの露は」は、夜に置く露はの意で、六音の字余りである。
四句「友なき鹿の」は、連れのいない鹿のの意で、妻を求めて鳴く鹿をいう。
結句「淚なりけり」は、涙であったのだの意で、「けり」は気づきの詠嘆である。
ふす:横になって寝る
- 作者
- 源実朝
- 出典
- 金槐和歌集
- 前の歌
- 秋もはや末野の原に鳴く鹿の 声聞く時ぞ旅は悲しき
- 次の歌
- ひとり臥す草の枕の露の上に 知らぬ野原の月を見るかな