- 歌の意味
-
猪名野の原で篠竹を枕として寝ると、その枕に置いた霜であろうか、月の光が宿っている。
- 鑑賞
-
雑歌 581
詞書は前の歌に続き「旅宿霜」
猪名野の原で篠を枕に旅寝をすると、白く光るものがある。枕に置いた霜であろうか、それとも宿った月の光であろうかと詠んだ歌である。霜と月光の白さを見まがう趣向である。賀茂真淵はこの歌に評価の印を付けている。
類従本では旅の部に収められている。定家所伝本では三句を「ささまくら」とする。
初句「しなが鳥」は「猪名」にかかる枕詞で、本巻の第五百六十八首と同じ枕詞である。
二句「ゐな野の原の」は、摂津国の歌枕の猪名野の原のの意である。
三句「篠枕」は、篠竹を枕とすることの意である。
四句「枕の霜や」は、枕に置いた霜であろうかの意で、三句の「枕」を繰り返している。「や」は疑問である。
結句「やどる月影」は、宿っている月の光の意で、体言止めである。本巻の第五百六十六首と同じ結句で、露に宿る月を霜に宿る月に変えている。
しのまくら:篠竹を枕とすること、旅寝
しながどり:猪名にかかる枕詞
- 作者
-
源実朝
- 出典
-
金槐和歌集
- 前の歌
-
袖枕霜置く床の苔の上に 明かすばかりのさよの中山
- 次の歌
-
旅衣夜半の片敷き冴え冴えて 野中の庵に雪降りにけり