稀に来て稀に宿借る人もあらじ
あはれと思へ庭の松風
- 歌の意味
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たまに来て、たまに宿を借りる人もほかにはいないだろう。私をしみじみといとおしく思っておくれ、庭の松風よ。
- 鑑賞
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雑歌 588
詞書は前の歌に続き「屏風の絵に山家に松かける所に旅人あまたあるをよめる」
こんな山家にたまたま来て宿を借りる人など、ほかにはいないだろう。だから庭の松風よ、私をあわれと思ってくれと、松風に呼びかけた歌である。前歌の松風の悲しさを受け、旅人と松風とが互いに寂しさを分かち合う趣になっている。
類従本では旅の部に収められている。百人一首の行尊の「もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし」と通う呼びかけの形である。
初句「まれに来て」は、前歌と同じ初句である。
二句「稀に宿かる」は、たまに宿を借りるの意で、「まれに」を重ねてその稀さを強めている。
三句「人もあらじ」は、人もいないだろうの意で、三句切れである。
四句「あはれとおもへ」は、いとおしいと思っておくれの意で、命令形で松風に呼びかけている。
結句「庭の松風」は、前歌と同じ結句で、呼びかけの対象である。体言止めである。
やどかる:宿を借りる、泊まる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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稀に来て聞くだに悲し山賤の 苔の庵の庭の松風
- 次の歌
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夕月夜さすや川瀬の水馴れ棹 なれても疎き波の音かな