空や海海や空ともえぞ分かぬ
霞も波も立ち満ちにつつ
- 歌の意味
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空が海なのか、海が空なのか、見分けることができない。霞も波も一面に立ち満ちていて。
- 鑑賞
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雑歌 590
詞書「朝ぼらけ八重の潮路霞み渡りて空も一つに見え侍りしかば」
夜明けの海を見渡すと、遠い潮路一面に霞がかかり、空と海とが一つになって見えたので詠んだ歌である。空と海を入れ替えて繰り返す言葉の調子が、境目の消えた広々とした景色をそのまま伝えている。
類従本では詞書の末尾を「よめる」とする。底本は二句、三句に異同の注記があり、貞享本は三句を「見えわかぬ」「えぞわかぬ」の二通りに記す。ここでは類従本、定家所伝本と同じく「海や空とも」「えぞわかぬ」と読む。
初句「空や海」は、空が海なのかの意である。
二句「海や空とも」は、海が空なのかともの意で、初句と語順を入れ替えて繰り返している。
三句「えぞわかぬ」は、見分けることができないの意で、「え〜ぬ」は不可能を表し、「ぞ」は係助詞で「ぬ」と連体形で結ぶ。三句切れである。
四句「かすみも波も」は、霞も波もの意で、空の霞と海の波とを並べ、初二句の対句を受けている。
結句「たちみちにつつ」は、一面に立ち満ちていての意で、「立ち」は霞と波の両方にかかる。倒置によって見分けられない理由を示している。
あさぼらけ:夜がほのぼのと明けるころ
やへのしほぢ:幾重にも遠く続く海路
わく:見分ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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夕月夜さすや川瀬の水馴れ棹 なれても疎き波の音かな
- 次の歌
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箱根路をわが越え来れば伊豆の海や 沖の小島に波の寄る見ゆ