旅を行きし跡の宿守おれおれに
私あれや今朝はいまだ来ぬ
- 歌の意味
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旅に出ていた間の留守居の者たちは、それぞれに私事でもあるのだろうか、今朝はまだやって来ない。
- 鑑賞
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雑歌 594
詞書「同じ詣下向の後朝にさぶらひども見えざりしかばよめる」
二所詣から帰った翌朝、仕える侍たちが姿を見せなかったので詠んだ歌である。留守を守っていた者たちは、それぞれ私用でもあるのだろうかと、軽いおかしみをこめて詠んでいる。主君としての実朝の日常がうかがえる。
類従本では詞書を「二所下向の後朝にさぶらひども見えざりしかば」とする。三句は類従本、貞享本に「おれおれに」とあり、類従本は別に「をのをのに」と注する。結句は類従本、定家所伝本に「今朝はまだこぬ」とあるが、ここでは底本の表示に従って「今朝はいまだこぬ」とする。
初句「旅をゆきし」は、旅に出ていたの意で、六音の字余りである。
二句「跡のやどもり」は、留守の間の家の番をする者の意である。
三句「おれおれに」は、めいめいに、それぞれにの意である。
四句「わたくしあれや」は、私事があるのだろうかの意で、「や」は疑問である。
結句「今朝はいまだこぬ」は、今朝はまだ来ないの意である。前の二首の旅の途上から、旅を終えた翌朝へと場面が移っている。
やどもり:留守の家の番をする者
おれおれ:めいめい、それぞれ
わたくし:私事、個人的な用事
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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春雨はいたくな降りそ旅人の 道行き衣濡れもこそすれ
- 次の歌
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夜を寒み独り寝覚めの床冴えて わが衣手に露ぞ置きける