都辺に夢にも行かむ便りあらば
うつの山風吹きも伝へよ
- 歌の意味
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都のあたりへ、せめて夢の中でも行きたい。その便りがあるならば、宇津の山を吹く風よ、私の思いを吹き伝えておくれ。
- 鑑賞
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雑歌 597
詞書は前の歌に続き「ある人都の方へ上り侍りしに便りにつけて詠みて遣はす」
都にいる人のもとへ、せめて夢の中でも行きたいので、東海道の宇津の山を吹く風よ、その機会があるなら思いを吹き伝えてくれと詠んだ歌である。伊勢物語の東下りの段で、宇津の山で「うつつにも夢にも人に逢はぬなりけり」と詠まれたことをふまえている。
底本の初句は「都人に」であるが、一本と類従本によって「都べに」と改められており、ここではそれに従う。
初句「都べに」は、都のあたりへの意である。
二句「夢にもゆかむ」は、夢の中でも行こうの意である。
三句「便あらば」は、機会、手段があるならばの意である。
四句「うつの山風」は、駿河国の宇津の山を吹く風の意で、「うつ」に地名の宇津と「うつつ」を響かせ、二句の「夢」と対をなす。
結句「吹きもつたへよ」は、吹き伝えておくれの意で、命令形で山風に呼びかけている。
うつのやま:駿河国の宇津の山の意と、うつつの意を響かせる
たより:機会、手段、また便り
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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かかる折もありけるものを手枕の 隙漏る風を何厭ひけむ
- 次の歌
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都より吹き来む風の君ならば 忘るなとだに言はましものを