都より吹き来む風の君ならば
忘るなとだに言はましものを
- 歌の意味
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都から吹いてくる風があなたであるならば、せめて忘れないでとだけでも言うのだけれど。
- 鑑賞
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雑歌 598
詞書は前の歌に続き「ある人都の方へ上り侍りしに便りにつけて詠みて遣はす」
都から吹いてくる風があなたであったなら、せめて私を忘れないでと伝えられるのにと詠んだ歌である。前歌では風に思いを託して都へ送ろうとし、本歌では逆に都から来る風を相手に見立てている。賀茂真淵はこの歌に評価の印を付けている。
底本の二句は「吹きここむ」とあり、ここでは「吹きこむ」と読む。類従本では四句を「忘るなとだにも」と八音にしている。
初句「都より」は、都からの意である。前歌の初句「都べに」と対をなし、都へ向かう風と都から来る風とが反転した構図になっている。
二句「吹きこむ風の」は、吹いて来る風がの意である。
三句「君ならば」は、あなたであるならばの意で、反実仮想の条件である。
四句「忘るなとだに」は、忘れないでとだけでもの意で、「な」は禁止、「だに」は最小限の願いを表す。
結句「いはましものを」は、言うだろうにの意で、「まし」は反実仮想、「ものを」は詠嘆である。
ふきく:風が吹いて来る
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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都辺に夢にも行かむ便りあらば うつの山風吹きも伝へよ
- 次の歌
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うつたへに思ふばかりは言はねども 便りにつけて尋ねぬばかりぞ