岩根踏み幾重の峰を越えぬとも
思ひも出でば心隔つな
- 歌の意味
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岩の根を踏み、幾重の峰を越えて遠く離れてしまっても、思い出してくれるならば、心まで隔てないでほしい。
- 鑑賞
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雑歌 600
詞書は前の歌に続き「ある人都の方へ上り侍りしに便りにつけて詠みて遣はす」
険しい岩を踏み、幾重もの峰を越えて遠く都へ行ってしまっても、思い出すことがあるならば、心だけは隔てないでほしいと願う歌である。都へ上った人に贈った一連の最後の歌で、山々に隔てられても心は通わせていたいという思いで結んでいる。
類従本、定家所伝本では四句の結びの一字を異にする。底本の表示には「出でむ」と「出でば」の二通りが見え、ここでは「思ひも出でば」と読む。
初句「岩根ふみ」は、岩の根元を踏んでの意である。
二句「いくへの峰を」は、幾重にも重なる峰をの意である。
三句「越えぬとも」は、越えてしまってもの意で、「ぬ」は完了、「とも」は逆接の仮定である。
四句「思ひも出でば」は、思い出してくれるならばの意である。
結句「こころへだつな」は、心を隔てないでくれの意で、「な」は禁止である。二句の峰による隔たりと、心の隔たりとを対比している。一連の初めの第五百九十五首がひとり寝の寒さを詠んだのに対し、結びの本歌は心の通いを願って閉じている。
いはね:岩の根元、大きな岩
へだつ:隔てる、心を離す
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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うつたへに思ふばかりは言はねども 便りにつけて尋ねぬばかりぞ
- 次の歌
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立ち別れいなばの山の時鳥 まつと告げこせ帰り来るがに