今来むと頼めし人は見えなくに
秋風寒み雁は来にけり
- 歌の意味
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すぐに来ると約束してあてにさせた人は姿を見せないのに、秋風が寒いので雁はやって来たことだ。
- 鑑賞
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雑歌 604
詞書は前の歌に続き「遠き国へまかれりし人八月ばかりには帰り参るべきよしを申して九月までに見えざりしかば彼の人のもとに遣はし侍りし」
すぐ帰ると約束した人は姿を見せないのに、秋風が寒くなって雁はちゃんとやって来たと詠んだ歌である。前歌が約束しない雁を詠んだのに対し、本歌は約束した人を正面から挙げて、待つ身のやるせなさを率直に述べている。
類従本では恋の部に収められている。なお底本の表示は初句の頭が判読しにくく、ここでは「いま来むと」と読む。
初句「いま来むと」は、すぐに来ようとの意で、古今集の素性法師の「今来むと言ひしばかりに」と同じ言い回しである。
二句「たのめし人は」は、あてにさせた人はの意である。前歌の「たのめぬ」と対をなし、約束しなかった雁と約束した人とを反転させている。
三句「見えなくに」は、姿を見せないのにの意で、「なくに」は逆接である。
四句「秋風寒み」は、秋風が寒いのでの意で、「み」は原因、理由を表す。
結句「雁は来にけり」は、前歌と同じ結句である。
たのむ:あてにさせる、約束する
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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来むとしも頼めぬうはの空にだに 秋風吹けば雁は来にけり
- 次の歌
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沖つ波八十島かけて住む千鳥 心ひとつといかが頼まむ