沖つ波八十島かけて住む千鳥
心ひとつといかが頼まむ
- 歌の意味
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沖の波の立つ多くの島々をかけて住む千鳥のようなあなたを、心は一つだと、どうして頼みにできようか。
- 鑑賞
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雑歌 605
詞書「素暹法師物へまかり侍りけるに遣はしける」
素暹法師が旅に出たときに贈った歌である。沖の多くの島々を渡り歩いて住む千鳥のように、あちこちへ心を移すあなたを、心は一つだとどうして信じられようかと、親しい相手を戯れまじりに責めている。素暹法師は東胤行のことで、歌人として実朝に近く仕えた。
勅撰集の『続拾遺和歌集』に入集している。底本ではこの歌の後に素暹法師の返しとして「浜千鳥八十島かけてかよふともすみこし浦をいかが忘れむ」があり、多くの島々に通っても住み慣れた浦をどうして忘れようかと応じている。類従本では「一本及印本所載歌」の部に収められている。
初句「沖つ波」は、沖に立つ波の意である。
二句「八十島かけて」は、多くの島々にわたっての意である。
三句「すむ千鳥」は、住んでいる千鳥の意で、旅に出る素暹法師をたとえる。
四句「心ひとつと」は、心は一つだとの意である。三句の「八十島」の多さと「ひとつ」とが対比されている。
結句「いかがたのまむ」は、どうして頼みにできようかの意で、反語である。
やそしま:多くの島々
たのむ:頼みにする、信じる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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今来むと頼めし人は見えなくに 秋風寒み雁は来にけり
- 次の歌
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うはの空に見し面影を思ひ出でて 月に馴れにし秋ぞ恋しき