うはの空に見し面影を思ひ出でて
月に馴れにし秋ぞ恋しき
- 歌の意味
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空に見た月の面影を思い出して、あなたとともに月に親しんだ秋が恋しい。
- 鑑賞
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雑歌 606
詞書「秋の頃言ひ馴れたる人の物へまかりしに便りにつけて文など遣はすとて」
秋の頃、親しく語り合っていた人が旅に出たので、便りに託して手紙などを贈ったときの歌である。空に見た月の姿を思い出すにつけ、その人とともに月を眺めて過ごした秋が恋しいと詠んでいる。
類従本では恋の部に収め、詞書を「秋のころいひなれにし人のもとへまかりしに便につけて文などつかはすとて」とする。
初句「うはの空に」は、空にの意で、六音の字余りである。上の空のように心も落ち着かないさまを響かせる。
二句「見し面影を」は、見た姿をの意で、月の姿にともに眺めた人の面影を重ねている。
三句「思ひ出でて」は、思い出しての意で、六音の字余りである。次歌の第六百七首の初句「思ひいでよ」と呼応している。
四句「月になれにし」は、月に親しんだの意で、「なれ」には相手と馴れ親しんだ意も含まれる。
結句「秋ぞこひしき」は、秋が恋しいの意で、「ぞ」は係助詞で「こひしき」と連体形で結ぶ。
おもかげ:目に浮かぶ姿
なる:馴れ親しむ
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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沖つ波八十島かけて住む千鳥 心ひとつといかが頼まむ
- 次の歌
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思ひ出でよ見し世はよそになりぬとも ありし名残の有明の月