結ひ初めて馴れしたぶさの濃紫
思はず今も浅かりきとは
- 歌の意味
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初めて結い上げてから馴れ親しんだ髻の濃い紫の紐のように、私たちの縁が浅かったとは、今も思わない。
- 鑑賞
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雑歌 608
詞書「忍びて言ひわたる人ありき遥かなる方へ行かむと言ひ侍りしかば」
ひそかに思いを通わせ続けていた人が、遠い所へ行くと言ったので詠んだ歌である。元服の折に初めて結んだ髻の濃い紫の紐の色のように、二人の縁は深かったのであり、今も浅かったとは思わないと、別れに際して変わらぬ思いを伝えている。
類従本、定家所伝本では四句の一字を異にする。
初句「ゆひそめて」は、初めて結ってからの意で、元服して初めて髪を結うことをいう。
二句「馴れしたぶさの」は、馴れ親しんだ髻のの意である。
三句「濃紫」は、濃い紫色で、髻を結ぶ紐の色である。三句切れで、色の濃さに縁の深さを込めている。
四句「思はず今も」は、今も思わないの意で、倒置となっている。
結句「浅かりきとは」は、浅かったとはの意である。三句の「濃」と「浅」とが対比されている。
たぶさ:髪を頭の上で束ねた所、髻
こむらさき:濃い紫色
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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思ひ出でよ見し世はよそになりぬとも ありし名残の有明の月
- 次の歌
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われゆゑに濡るるにはあらじ唐衣 山路の苔の露にぞあらまし