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葵草鬘にかけてちはやぶる
賀茂の祭りを練るや誰が子ぞ

歌の意味
葵を髪飾りにかけて、神の賀茂の祭りの行列をゆっくり進んでいくのは、誰の子であろうか。
鑑賞
雑歌 624

詞書「同じ社を詠める」
 賀茂の社を詠んだ歌である。葵の葉を髪飾りにかけて、賀茂祭の行列の中をしずしずと進む若者の晴れやかな姿を見て、あれは誰の子であろうかと詠んでいる。祭りのはなやかさが生き生きと描かれている。賀茂真淵はこの歌に評価の印を付けている。
 類従本では「加茂祭歌」と題して神祇の部に収める。類従本、定家所伝本では結句の一字を異にする。

 初句「あふひ草」は、賀茂祭で用いる葵の意である。賀茂祭は葵祭とも呼ばれる。
 二句「かづらにかけて」は、髪飾りにかけての意である。
 三句「千はやぶる」は「神」にかかる枕詞で、ここでは「賀茂」を導いている。前の第六百二十二首と同じ枕詞である。
 四句「賀茂の祭りを」は、賀茂の祭りの中をの意である。
 結句「ねるやたが子ぞ」は、ゆっくり進んでいくのは誰の子かの意で、「ねる」は行列などがしずしずと進む意である。

あふひぐさ:葵、賀茂祭で冠や牛車に飾る草
かづら:草花などで作った髪飾り
ねる:行列などがゆっくりと進む
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
立ち寄れば衣手涼しみたらしや 影見る岸の春の川波
次の歌
何し負はばそのかみ山のあふひ草 かけて昔を思ひ出でなむ