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雪積もる和歌の松原ふりにけり
幾世経ぬらむ玉津島守

歌の意味
雪の積もる和歌の浦の松原は、雪が降り、また古びたことだ。玉津島の島守よ、どれほどの世を経てきたのだろうか。
鑑賞
雑歌 629

詞書「松間雪」
 雪の積もった和歌の浦の松原は、雪が降り、またすっかり古びている。玉津島を守る島守よ、どれほどの年月を経てきたのかと問いかけた歌である。和歌の神をまつる玉津島を詠み、歌の道の長い伝統への思いを重ねている。
 類従本では「一本及印本所載歌」の部に収められている。賀茂真淵は、この浦を「和歌」と書いて歌のことに結びつけるのは笑うべき誤りであると評している。

 初句「雪つもる」は、雪の積もっているの意である。
 二句「和歌の松原」は、紀伊国の和歌の浦の松原の意である。次歌の第六百三十首と二句を同じくし、玉津島とともに二首続けて詠まれている。
 三句「ふりにけり」は、「ふり」に雪が「降り」と松原が「古り」を掛ける。三句切れである。
 四句「いく世へぬらむ」は、どれほどの世を経たのだろうかの意で、前歌の「いく世を経てか」と同じ問いかけである。
 結句「玉津島守」は、玉津島を守る島守の意で、体言止めで呼びかけとなっている。玉津島には和歌の神とされる玉津島明神がまつられる。

ふる:雪が降る意と、古くなる意を掛ける
たまつしま:紀伊国の和歌の浦にある島、和歌の神をまつる
しまもり:島を守る番人
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
月の澄む北野の宮の小松原 幾世を経てか神さびにけむ
次の歌
玉津島和歌の松原夢にだに まだ見ぬ月に千鳥鳴くなり